禍根を残す論文疑惑

台湾は、学歴社会です。現在は大学進学率がとても高いため、大学卒だけではPRできません。特に政治家は、海外の大学や大学院、国内でも有名大学、大学院卒業をPRします。

台湾の選挙ポスターやチラシには○○大学卒業とか○○大学MBAとか学歴が書かれています(日本で同じようなポスターなどを作成すると嫌味に映るかもしれませんが、政治家がほぼ家業になっている日本よりはずいぶんましです)。

科挙の伝統があるからか、高学歴は(ある程度)尊敬の対象なのです。

 

そのような中、統一地方選で問題となったのが桃園市長候補だった林智堅氏の論文盗用疑惑(一応、学位を付与した台湾大学は盗用を認定したので、すでに疑惑ではないという見方もできますが)です。実は、他にも論文の登用疑惑が掛けられた人物はいましたが、一番厳しい結果となったのが林氏です。

 

結果として、最下段にリンクを張った、田 輝氏の記事の通り林氏のみがババを引いた状態ですが、民進党支持の有権者の中にはこれに不満を持つ方もいます。

そのような方に話を聞くと、「結局、大学などの学界は国民党支持だから、民進党の林氏に厳しく当たった」というものや、「民進党も気にせずに出馬させればよかった」というものです。

確かに、学界の方と話をすると国民党支持者が多い気がします。大学によりカラーが別れるのが面白いところですが、○○大学は国民党系、○○大学はそうでもない、というのが明確に分かるのが面白いところです。

つまり、そのような中で盗用かどうかは、国民党支持者である学者が判断するのだから、民進党はそんなの無視して選挙に出馬させればよいじゃないか、という意見なのです。

 

日本だと、ある程度、学者は中立的に判断するだろうと考える人が多いので、「それを疑いだしたら、キリがない」と思われる方も多いかもしれませんが、台湾だとある意味普通の考え方かもしれません(ただし、日本の学者が中立的かというと全くそんなことはありません。私はどちらかというと「リベラルより」ですが、学者なんて全く信用していません。彼らの多くは市民を見下している割に思想が左に偏っている、というのが私の見方です)。

 

高学歴候補者が多い以上、これからも同様の問題は明らかになると思いますが、その時にどのような判断をするか、というのは国民性とも相まって興味深い問題です。

 

参考 田 輝 「統一地方選挙で民進党大敗! とはいえ必ずしもそのままになるとはいえない2024年台湾総統選大予想」 

news.yahoo.co.jp