それでも大学進学しますか? 大学教員の闇

なぜ、大学の先生は○○でもなれるのか?

大学で学ぶ内容は、小~高までの延長線上にあることと、全くと言ってよいほどつながりのないことに分けることができます。そして、大半は後者です。そのため、聞いたことがない大学を卒業した人でも(特に、ハッタリのために有名大学大学院で学歴だけカバーすれば)、教員になれます。古文が読めなくても、因数分解が判らなくても、大丈夫です(なんだか政治家と同じですね)。

 

聞いたことがない大学や「フーン」っていう大学に入学する際に求められる学力は下手をすれば中学卒業レベルです。ですが、文系なら国語(日本語)さえある程度できれば

?大学??卒業→有名大学博士前期課程→有名大学博士後期課程修了

により、大学の先生への道が開かれます。

 

指導教授が有名でパワフルなら

?大学??卒業→?大学博士前期課程→?大学博士後期課程修了

ですら、可能です。

きわめて運が良ければ、

?大学??卒業→有名大学博士前期課程→有名大学博士後期課程中退(単位取得満期)

でも可能です。

 

ただし、大学や学術分野によっては、博士後期課程中退(満期退学)が大半で博士の学位授与がほぼ認められないことがありますので、イージーに学位がもらえる大学、学術分野、指導教授か、は良くリサーチしなければなりません。建前上、?大学??博士>有名大学博士後期課程退学、だからです。

求人が多い学術分野と極めて少ない学術分野がありますので、この点も要注意です。

 

また、学術分野ごとに特定の大学が幅を利かせていることは多いです。いわゆる、学閥で官僚や企業の世界以上に学界は学閥が重要です。?大学??出身者のような外様の場合、有名大学の教員になれることは極めて稀ですが、準有名大学(>>超えられない壁>>?大学??)の教員になることは比較的容易です。さらに、その業界で有名な学界を特定の大学出身者が牛耳っていたり、雑誌の編集権を同じく特定の大学出身者が独占しているケースは多いです。となれば、業績もつくりやすいし研究助成も受けやすい、殊になります。

つまり、学位が出やすい有名大学博士後期課程に入れば、ある程度成功の条件を満たすことになります。

 

前回の記事で述べたランクより下のランクの大学では、あからさまに?大学??や準有名大学出身の教員が増えます(そして、多くの場合、自己紹介に出身大学を記載していません(笑))。大学教員は専門分野さえ詳しければよいのでは、との意見もあるかと思いますが、一般教養はボロボロ、学界外で働いたこともない方が大半なので気位が高い〇ン〇ツばかりで、これを「学識経験者」と呼んでも差し支えないかは悩ましいレベルです。

 

また、国公立大学であっても、この傾向は似ており、K大学のX先生の門下は地方駅弁国立大学○○学部の✕✕学の教員に(ほぼ指定席で)なれる、というようなケースは令和の時代になってもあります。これは、X先生が定年でK大学からその他大学に天下っても引き継がれることがあります。

K大学卒業者なら優秀であれば母校K大学や都心・関西圏の大学に戻れるし、戻りたくなければ駅弁大学に居座れるというオプションがつく場合もあります。そのため、地方に一つしかない国立大学の先生にこんな学歴(こんな研究業績)の人がなれるのか、というケースも多くあります。

 

それでも大学進学しますか?

この記事では特定の大学をsageたいわけではありません。

とてもシンプルな話で学費だけで4年間400万円投資(お布施)する前によく考えてみて、というお話です。

冷静に計算すると、大学進学は400万円投資した上に、4年間で稼げる給与と経験を放棄することを意味します。よくよく、考えてみてください。

 

まず、医療職(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師)、エンジニア(建築士、各種技術者、開発者)や教諭(幼、小、中、高)、航海士、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士...といった資格職につきたい場合、大学卒業が必須、または、大学卒業が非常に有利になるので(一応)大学に進学するべきです。

また、大卒がハッタリになるコンサルタントやカウンセラーのような仕事、高卒での採用がほぼない仕事(銀行員、電力会社等)に就く場合も進学した方がよいでしょう。

 

ですが、それ以外の場合(つまり、大半の場合)、大学を出ているか否かは、「新卒時に大卒と名乗れるか否か」程度、あるいは、新卒時に「〇〇ナビに登録できるか否か」程度の差しか生みません。他の道も併せて考えましょう(ほかの道は、今後の記事で案内します)。

 

「いやいや、新卒時の就活の時、大卒か高卒かでだいぶん違うでしょ」という方もいるかもしれません。しかし、大卒だからといって、大卒しか入れない有名企業に全員入社できるわけではありません。むしろ、ほとんどの人は学歴など無関係な中小企業の従業員になるわけです(もちろん、私もその一人です)。

その上、就職したら急に「学歴に意味はない実力だ」などと言い出す日本社会においては、みんながひれ伏す(笑)超有名大学(東大・京大レベル)卒業以外、意味はありません(私自身は、突然の学歴信仰放棄に唖然とし、「なら、大学なんか行かずに(何なら高校も行かずに)中学出たら働けよ」と思っていますが)。

 

また、上に挙げた資格についても、いわゆる文系資格は大学進学と資格取得が直結しません。例えば、弁護士になりたければ、大学卒業後、ロースクールから司法試験という道もありますが、予備試験に合格後、司法試験にも合格すれば大学に行く必要はありません。

 

いやいや、「大学進学はそんな実利だけでなく、豊かな人間性を涵養するために...」という方もいると思います。たしかに、労働者(奴隷)養成所である小中高の教育を客観的に見ることができる人なら大学進学し学問に触れることで義務教育+アルファ(高校)教育のひどさについて批判的に省察できるでしょう。しかし、残念ながら現在の大学の大半で行われている教育は義務教育+アルファで取りこぼした内容の補習です。また、豊かな人間性を持つ人ほど、就職後、日本のどブラックな職場でひき潰されます。

 

結論から先に述べると、文系であれば旧帝国大学、一橋、神戸、金沢、岡山、広島(ただし、理系はとにかく大学に進学してください)、早慶、MARCH、関関同立レベルの大学は(ギリギリ)行く意味がありますが、それ以外へ進学する場合、「高卒で働く」、「その他の選択肢」も真剣に考えた方が良いと思います。

 

次回以降、

・大学教員の闇 教員はそこいらの人(以下)

・大学職員はなぜ高給か 私立でも税金が流れ込む→高給でも潰れない

・国立でも行く意味がない? 地方国立の教員はまともな研究者か〇〇

 

 

おっしゃる通りでございます。

台湾の方と話していて、「それを言われると、ぐうの音も出ない」と思ったのが投票率の話です。

 

ある台湾の若い市民の方と話していて、「私みたいに貧乏だろうが金持ちだろうが、頭がよかろうが悪かろうが、関係なく1票あるんだから行かないわけないじゃん」と言われたことがあります。

 

「何に?」

「選挙です。」

 

これって当たり前の話ですけれど、我々日本人にとっては耳が痛い話ですよね。私も、今まで2回だけ選挙をさぼったことがありますが、耳が痛い話でした。

せっかく1票あるのに、なんでいかないの?金持ちの好きなようにできる社会でいいの?ってことです。当たり前なんだけれど。

 

あと、「ちょっとやらせてみてすぐダメだったから交代、という短期的な視点しかないのはバカ。4年間で何がわかるの?」とその方は言っていて、これは台湾の話なんですが、日本でも似た話あったよね、って話です。

 

ちょっとやらせてみて、今までと違うからダメとか、災害が被って、ワークしてなかったのでダメとか言っているうちに、失われた30年ですよ。そりゃ、今までやってきたことがダメで、同じ方法続けてたらダメなまんまなんですよ。

 

イデオロギーとして好きとか嫌いとか以前に、成長の可能性がある選択肢が存在するなら長い目でやらせてみないと。

禍根を残す論文疑惑

台湾は、学歴社会です。現在は大学進学率がとても高いため、大学卒だけではPRできません。特に政治家は、海外の大学や大学院、国内でも有名大学、大学院卒業をPRします。

台湾の選挙ポスターやチラシには○○大学卒業とか○○大学MBAとか学歴が書かれています(日本で同じようなポスターなどを作成すると嫌味に映るかもしれませんが、政治家がほぼ家業になっている日本よりはずいぶんましです)。

科挙の伝統があるからか、高学歴は(ある程度)尊敬の対象なのです。

 

そのような中、統一地方選で問題となったのが桃園市長候補だった林智堅氏の論文盗用疑惑(一応、学位を付与した台湾大学は盗用を認定したので、すでに疑惑ではないという見方もできますが)です。実は、他にも論文の登用疑惑が掛けられた人物はいましたが、一番厳しい結果となったのが林氏です。

 

結果として、最下段にリンクを張った、田 輝氏の記事の通り林氏のみがババを引いた状態ですが、民進党支持の有権者の中にはこれに不満を持つ方もいます。

そのような方に話を聞くと、「結局、大学などの学界は国民党支持だから、民進党の林氏に厳しく当たった」というものや、「民進党も気にせずに出馬させればよかった」というものです。

確かに、学界の方と話をすると国民党支持者が多い気がします。大学によりカラーが別れるのが面白いところですが、○○大学は国民党系、○○大学はそうでもない、というのが明確に分かるのが面白いところです。

つまり、そのような中で盗用かどうかは、国民党支持者である学者が判断するのだから、民進党はそんなの無視して選挙に出馬させればよいじゃないか、という意見なのです。

 

日本だと、ある程度、学者は中立的に判断するだろうと考える人が多いので、「それを疑いだしたら、キリがない」と思われる方も多いかもしれませんが、台湾だとある意味普通の考え方かもしれません(ただし、日本の学者が中立的かというと全くそんなことはありません。私はどちらかというと「リベラルより」ですが、学者なんて全く信用していません。彼らの多くは市民を見下している割に思想が左に偏っている、というのが私の見方です)。

 

高学歴候補者が多い以上、これからも同様の問題は明らかになると思いますが、その時にどのような判断をするか、というのは国民性とも相まって興味深い問題です。

 

参考 田 輝 「統一地方選挙で民進党大敗! とはいえ必ずしもそのままになるとはいえない2024年台湾総統選大予想」 

news.yahoo.co.jp

 

台湾の選挙

親がとある衆議院議員を支持していたので子供のころは選挙があるたびに運動員をしていましたが、その一方で自営業でもあるので右から左までまんべんなく(頼まれて)正党機関紙をとっていた時期があります(実は、祖父や親類も地方議会の議員だったりと政治家一家でした)。

節操がないですが、自営業の方の立場は台湾でも似たようなスタンスで、明確に政治的立場を述べないそうです。

 

選挙はかなりどぶ板選挙が行われているようで、この点は日本と似ています。私自身、経験として選挙運動ボラをしたことがありますが、都道府県議会議員選挙レベルでも運動の屋台骨を支えているのはちょうど市議会議員と国会議員でした。

こんなイメージです。

 

ア、国会議員→イの応援演説や秘書を運動員派遣

 

イ、都道府県議会議員(今回の選挙対象)→自分の選挙運動

 

ウ、市町村議会議員→自らの支持者に、イの支持呼びかけ。選対事務所長など

 

実は、台湾の選挙でもこれと同じような構造はあります。

 

台湾には市の中に里や隣といった行政区分があり、例えば、里長も選挙でえらばれるのですが、立法委員はもちろん里長の支持を集めることができるかは選挙の勝敗に大きな影響を与えるようです。

台湾の街中をウロウロしていると里辦公處(里のオフィス)に「里長 林○○」と書いたベストを着た人が座っていたり、町の人と何やら話していたりするのですが、その方が里長さんです(台湾ではよくベストを羽織った方を見ます)。

 

里長は里辦公處(里のオフィス)におり、日常生活の相談にも乗ってくれ20代後半?から高齢の方までかなり広い世代の方が担っています。ちょうど里長に立候補した方の運動もみていましたが、候補者本人がビラなどを手配りするまさに手作り選挙でなかなか好感が持てました。

 

里長は(落選しなければ)長く務める方もいるようですが、市議会議員へのステップという方も多いそうです。有権者と最も密接な里長を押さえると、選挙で勝利しやすくなるというのは、日本の選挙で市町村議会を押さえると選挙で勝利しやすくなるのと似ていますね。

 

 

2022 台湾統一地方選 台北エリア在住市民に話を聞いてみた2

台湾の政治状況について、かつて内戦していた国民党がなぜ親中派と言われるのかなど不思議に思いませんか?

 

私が数人の台湾市民に教えていただいた内容をお伝えしたいと思います。

 

管理人「国民党支持者は、国民党が台湾省だけでなく中国全体を統治する期待を今も抱いているのか?また、中国から逃れてきた国民党が親中というのは理解できないが?」

市民「それは全く抱いていないと思う。軍事的緊張が高まる中で馬(英九)政権の際に両岸関係が改善したことがベースにある。」

管理人「軍事的緊張緩和の現実的な手段ということか。」

市民「その通りだ。また、経済的な発展に力点を置きたいということもある。」

 

なお、親中とは言うものの、中国に台湾が吸収されてもよい(一国二制度も含め)とまで思っている人はわずかだろうと思います(そういう主張を軽トラ等に貼って走り回っている人もいますが)。

 

また、台湾の新型コロナウイルス対策はとてもうまくいっているように見えますが、これに対し、市民からは不満の声も上がっています。

 

管理人「日本では、台湾のコロナ対策は素晴らしいといわれていたが?」

市民「そうでもない。指示が変わったり、罰則が厳しかったり、市民の中には強い不満を持つ人もいる。」

 

台湾では、何かを市民に義務づけるさいに、マナーの問題としてではなく罰金を科すという選択をしがちです。例えば、ビンロウを吐き出す、MRTで飲食をするという光景は現在は見当たらないですが、これらはマナーではなく行うとペナルティがあるのです。

 

なお、軍、警察等は国民党支持者が多いそうですが、公務員全般が国民党支持とは言えないようです。また、日本であれば学者は多くの場合リベラル(というか共産、社会主義?)支持ですが、台湾ではそうでもないようです。

 

管理人「新聞やTVは中立なのか?」

市民「全く中立ではない。それぞれの支持者を読者層としているので、どちらの政党に寄っているかは明確だ。」

管理人「企業などでもどちら寄りというのはあるのか?」

市民「公営企業は経営陣が変わるので何とも言い難いが、民間企業の中には明確に何れかの党に近いところはある。」

管理人「日本では、学校教員はリベラルというイメージがあるが?」

市民「学校は成立の歴史などから割とカラーがはっきりしている。必ずしも民進党支持ではなく、国民党支持者が多い大学もある。」

 

また、台湾は原住民、台湾人、外省人などいろいろなバックグラウンドを持つ方がいますが、

 

管理人「例えば、台湾人は民進党支持、外省人は国民党支持といったように明確に分けられるのか?」

市民「傾向はあるが、もっと現実的。内省・外省を問わず多くの人は福建省にルーツがあり、みんな媽祖、媽祖とありがたがっているわけで民族的な利害で支持政党が統一されているわけでもない。」

 

とのことでした。

 

二大政党制ですので全体的な傾向はあるものの、根底にあるのは「現実主義」という印象です。

 

2022 台湾統一地方選 台北エリア在住市民に話を聞いてみた1

台湾では、昨日(11月26日)に統一地方選の投票があり、与党の民進党が敗れました。

 

中国(中華人民共和国)との軍事的緊張の高まる中での選挙でしたが、実際に国民党の選挙集会も見学し、何人かの台北市民に話を聞く機会がありました。

台湾の政治外交を専門としない日本人の立場からは、「そうなの?!」と思われる発言もありましたので、数は少ないですが台北エリア在住の市民の声をお伝えしたいと思います。

 

台湾の選挙では、投票日までほぼ週末ごとに学校のグラウンドなどで選挙集会が行われます。民進党、国民党ともに、それぞれ集会をしており、私は国民党の集会を見学することができました。

当日は、雨が降るグラウンドが会場という意味で最悪なコンディションでしたが、人はたくさん集まっていました。

日本とは異なり、集会に行くと立法委員(国会議員)の方が檀上だけでなくグラウンドの周りに取り巻きもなく数名おりあちこち見まわってはヘルプに入っている様子が印象的でした。

また、その集会には蒋介石氏のひ孫である蒋万安氏も参加しており、入場の際にはまさに若きプリンスが大歓迎されている様な印象でした(実際、さわやかなイケメンです)。

 

台湾情勢を踏まえた意見としては、以下のようなものがありました。多くの参加者がいる食事の場でのフリートークだったので、まあ、こんなもんかという内容もありますが、なかなか意味深な発言でした。

 

「台湾有事の際に日本は当然、アメリカも軍事的に介入してくれないことがウクライナ情勢からわかった。」

「民進党は負けると思う。」

「民進党はコロナ対策に不手際が多かった。」

 

これは、台湾有事の際に国際社会からの介入はあまり期待できず、台湾独立を明言する民進党を支持した場合、両岸(台湾と中国)関係がさらに悪化するのではないかという懸念から出た発言だと思います。

良し悪しはともかく、実際、国民党が勝利したことに中国の報道官も好意的コメントを寄せていますよね。

 

以下は、私の抱いた印象ですが、台湾の方は当事者であるがゆえに台中関係を現実的にとらえています。

 

秋に無人機騒ぎもありましたが、例えば、徴兵制度も4月の期間を延長する方針です。

徴兵が2年から1年6月に短期化された世代の方にお話を伺うときに、「1年6月は長いですよね?」と話を向けたところ、「それでも、6月も短くなったのはすごくうれしかった。若い時期の貴重な半年ですから。」とのお答えがありましたが、台湾男性の負担はなかなか重いのが現実です。

 

このようなことも相まって、「(中国にのみ込まれるのは嫌だけれど)いたずらに対立し、全面戦争は論外」との考えが市民に広がり、選挙結果につながったのではないでしょうか?