2022 台湾統一地方選 台北エリア在住市民に話を聞いてみた1

台湾では、昨日(11月26日)に統一地方選の投票があり、与党の民進党が敗れました。

 

中国(中華人民共和国)との軍事的緊張の高まる中での選挙でしたが、実際に国民党の選挙集会も見学し、何人かの台北市民に話を聞く機会がありました。

台湾の政治外交を専門としない日本人の立場からは、「そうなの?!」と思われる発言もありましたので、数は少ないですが台北エリア在住の市民の声をお伝えしたいと思います。

 

台湾の選挙では、投票日までほぼ週末ごとに学校のグラウンドなどで選挙集会が行われます。民進党、国民党ともに、それぞれ集会をしており、私は国民党の集会を見学することができました。

当日は、雨が降るグラウンドが会場という意味で最悪なコンディションでしたが、人はたくさん集まっていました。

日本とは異なり、集会に行くと立法委員(国会議員)の方が檀上だけでなくグラウンドの周りに取り巻きもなく数名おりあちこち見まわってはヘルプに入っている様子が印象的でした。

また、その集会には蒋介石氏のひ孫である蒋万安氏も参加しており、入場の際にはまさに若きプリンスが大歓迎されている様な印象でした(実際、さわやかなイケメンです)。

 

台湾情勢を踏まえた意見としては、以下のようなものがありました。多くの参加者がいる食事の場でのフリートークだったので、まあ、こんなもんかという内容もありますが、なかなか意味深な発言でした。

 

「台湾有事の際に日本は当然、アメリカも軍事的に介入してくれないことがウクライナ情勢からわかった。」

「民進党は負けると思う。」

「民進党はコロナ対策に不手際が多かった。」

 

これは、台湾有事の際に国際社会からの介入はあまり期待できず、台湾独立を明言する民進党を支持した場合、両岸(台湾と中国)関係がさらに悪化するのではないかという懸念から出た発言だと思います。

良し悪しはともかく、実際、国民党が勝利したことに中国の報道官も好意的コメントを寄せていますよね。

 

以下は、私の抱いた印象ですが、台湾の方は当事者であるがゆえに台中関係を現実的にとらえています。

 

秋に無人機騒ぎもありましたが、例えば、徴兵制度も4月の期間を延長する方針です。

徴兵が2年から1年6月に短期化された世代の方にお話を伺うときに、「1年6月は長いですよね?」と話を向けたところ、「それでも、6月も短くなったのはすごくうれしかった。若い時期の貴重な半年ですから。」とのお答えがありましたが、台湾男性の負担はなかなか重いのが現実です。

 

このようなことも相まって、「(中国にのみ込まれるのは嫌だけれど)いたずらに対立し、全面戦争は論外」との考えが市民に広がり、選挙結果につながったのではないでしょうか?